素敵な女研究部・アメリカ編

首都圏でアメリカ生活を満喫しつつ、いい女を目指すブログ。

見える化がうまいアメリカ

なぜ、アメリカはデータ・証拠を大事にし、見える化がうまいのか?

 

コロナについても、ニューヨークのクオモ知事のスライドは、入院するコロナ患者の推移から、人工呼吸器を必要とする人の1日あたりの増減から、とにかく細かいデータが毎日の会見で、グラフとして表示され、とにかく「何が起きているのかを、視覚的に伝える」というのが本当に上手だ。毎日この会見を異なる場所からやり、データがどんどん改善されていくのが見える。たまに、知事に届く感動ものの手紙などを目を赤くしながら読み上げたりして、クオモ知事会見はニューヨーカーが毎日見る必見ドラマ状態だ。ニューヨークでは、自粛反対の抗議運動などは起きていない。ニューヨーカーたちは、クオモ知事の指導力に信頼を置いているからだ。

 


Cuomo Updates on NY Coronavirus Response

(クオモ知事の5月2日の会見)

 

都知事の小池さんもデータやボードなどを使って会見するようになってきたけども、誰かがアドバイスしたのではないかと思われる。一方で、相変わらず何も戦略がないのが安倍さんのようだ。安倍さんは舌を噛んだような隙間音が出てくる話し方で、タダでさえ聞き取りにくいのに、最近は会見に力を入れているように見えるものの、とにかく「感情が伝わってこない」とよく言われている。感情も伝わらないし、彼の使う言葉は抽象的でデータが少ないので、何を根拠に自粛を「お願い」しているのか、説得力がない。

 

トランプの場合、トランプ支持層を意識してか、平易な言葉を使う傾向にあり、たまに間抜けな発言もあるのだが、その分、コロナ軍団よろしく、バークス博士やファウチ博士、シリアスさではピカイチのペンス副大統領などを従え、それぞれ適材適所を振り分けながら会見をしているので、「国のリーダーたちは何か対応している」「トランプはさておき、一応ちゃんとした人が回してくれている」という印象を与える。それにバークス博士とファウチ博士はSARSでも活躍した専門家なので、彼らの言葉には重みがあり、信頼に値すると感じるのだ。

 

話がズレたが、アメリカでは、このようなデータ化・見える化はとても重要だし、そうしたデータを持って説得するというやり方、つまり論理的に話す、という行為は日常茶飯事というか、普通のこと、強いて言えばある程度の教育レベルの人はできて当たり前のことだ。日本でこれを会話の中でやると、絶対に「議論好き・理屈っぽい」と言われる。特に論理展開の上手な女子などは、ひどい扱いを受けること必死。だが、みんなよく覚えてるなと思うけども、アメリカの会話ではちょいちょいデータが出てくる。

 

で、どうしてアメリカでは論理的にデータを見せて話すのが大事なのか?

 

それは、ここアメリカに住む人たちの教育レベルがバラバラであり、文化背景もバラバラなので、「ホラ、わかるでしょ?言わなくても」なんていうのが絶対に通じないからだ。それよりも、一目瞭然のデータを示し、ロジックで説得する方がはるかに効率的だからだ。データは(統計操作はできるにしても)増えたのか減ったのか目に見え、そこに文化的背景や知識などがなくても、誰もが納得できるものだ。

 

日本の場合、この辺をすっ飛ばすことができる。教育レベルはアメリカよりは差が少ないし、「普通は…」と言ってしまえるほど、文化的にある程度「普通求められるレベル」の思考回路や行動パターンが存在する。だから、その辺の説明はしなくても、「いわずもがな」で、むしろ、それをベースにして「感情に訴える」というやり方のほうが、日本人的には、グッとくるのだ。義理人情もこういう流れで、「そう言われちゃぁ仕方ねぇ」という感じで日本人は、集団行動体制に入る。放っておいても「欲しがりません、勝つまでは」と勝手にスクラム組んでやり出してくれる、ある意味統治しやすい人たちだ。アメリカ人と違って、主張することを教育されてもいないので、そこでしのごの言いだす人も少ない。

 

ところがアメリカ人というのは、同じように考えるとは限らない、世界のガイジンの集まりみたいなものだ。移民一世、つまり私みたいにもともと他国で育ってからアメリカに住み始めた人もいるし、彼らの影響を色濃く受けて育った移民二世もいるし、もっと何世代にも渡って住んでいる移民たちだって、南部と北部、東西海岸側と内陸側では白人・黒人の人口比も違うし、結婚する年代だって違うので、生き方・人生の考え方もそれなりに違う。そもそも、中南米から来ている移民層などは、英語のレベルもおぼつかない人たちだっている。主張することを教育されているので、中身はなんであれ、まず主張する。むしろアメリカ社会では、言わぬが花、なんてやってたら、他の人の踏み台になるだろう。日本的な「普通」にしてたら、この社会では生きていけない。

 

そういう訳で、あまりに色んな人がいるために、ロジックでデータを見える化しなければ、この個性あふれる個人プレイヤーたちをまとめることは難しいのだ。

 

日本も鎖国している間は、別にいくらでも日本流を極めてもらって良い。ガラバゴスにはガラパゴスの生き方がある。だが、鎖国せず、ある程度G7などで、国際的な立場を保つならば、他の国がどう攻めてくるのかを知った上で、その人たちが理解できるようなコミュニケーション方法を取らなければ、「日本ってやっぱり不思議な国」というガラパゴスポジションで片付けられて終わりだ。珍しいので世界のオタクには重宝されるけども、国際的な立場で、日本のリーダーシップを感じてもらうことはないだろう。ある意味、これが日本の「国際理解」が一方通行で終わっている理由でもある。日本は世界をあまり理解していない。

 

だが、日本の「感情に訴える」スキルと、米国流のロジックでデータを示しながら相手を説得する、という両方を使いこなせるようになれば、これは強い武器になる。かくいうわたくしは、目下、ロジックよりも、日本の感情に訴えるスキルをなんとかせなあかん、と鋭意努力中である。世の中、言うほど両刀使いにはなかなかなれないものだが、目標は高く。

 

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