人間て経験したことないと、やっぱり、当人の気持ちなんてわからないもの。
私はあまり直接身近な人のお葬式に行ったことがなく、人を死によって失うというのがどういうことなのか、正直実感はない。だから、誰かが亡くなった友人などに声をかける時は、とても困るというか、何を言ったらいいのか本当にわからなくて言葉を失う。
さて、結婚式がコロナによって吹き飛ばされてしまった人の気持ち、というのも、なかなかみんなが経験することではない。どんな感じかというと、結婚まで夢見た人と失恋したみたいな感じだ。
AdeleのRolling in the Deepではないが、「We could have had it all」のサビが頭をよぎる。もうちょっとで完璧だったのに。予定日だった今日は、本当に新緑の美しい、晴れ渡った美しい日だった。最初で最後になるはずのウェディングドレスを着て、彼と誓うはずだった。普段は冷徹なリアリストだけど、今日だけは思いっきり少女漫画並みにヒロインを演じても良い日だった。もう結婚式なんてできないかもと思った日々もあったけど、それが本当に実現するはずだった。
アメリカの結婚式は、日本以上に準備も資金繰りも大変。私たちは、ギャンギャン喧嘩しながら、結婚式という名のイベント開催業務をすったもんだしてなんとかベンダと契約してデポジットを払ったところまでこぎつけていた。国際結婚なので、招待客の人数から予算まで、かなりすり合わせが大変。なんせ生い立ちが違う分常識も違うわけだが、今回のイベントは文化背景の違う親戚郎等を一堂に集め、招待客は各国からお呼びするため、何から何まで余計に考えなければならない。そして次はやっと、会場の飾り付けやブライドメイドたちの飾りなど、ディテールを決める段階。ここが一番楽しくて、女の子なら、予算とにらめっこしながらも、夢が膨らむ楽しいところだ。
そこで、中国でコロナ発生。
あれよあれよという間に、まさかのアメリカでも蔓延、まさかの国を挙げてのあらゆるイベント中止。
誰かのせいにできればまだしも、コロナは誰のせいでもない。
こういう時、「また来年やればいいじゃん」「失業した人もいるんだから、それよりはまし」というのはかなり聞きたくない言葉だと感じた。来年できるかどうかは、そのカップルの事情を聞けば、そう簡単に言えることではなく、もうこれが最後のチャンスだった可能性があるセンシティブな話だったりする。もちろん、失業したり、誰かと死別した訳ではないが、この結婚式がその人の人生にとってどれほどのものだったのかを知らない場合には、まったく慰めになってないどころか、もうその場を立ち去りたくなるくらいの言葉を投げつけられたような気持ちになった。
泣いてる人が苦手でどうして良いかわからず、解決策を提案しようと思って自分でもやったことあったけど、安易に「XXすればいい話」「XXよりはマシ」というのは、まったく慰めにも励ましにもなっていないんだなと知った。そしてきっとこれは、自分が経験したことのない、辛い経験をした人にかける言葉として、応用が効くのではないかと思う。
こういう言葉が励ましになるのは、ある程度本人が、ショックから立ち直り始め、本人が自分でそう言いだしてから、「そうだよ!」と同意するくらいが一番だ。結局、本人がそう思えるほどの余裕がなければ、それはただの冷たい言葉にしか聞こえない。
今回一番慰めになったのは、3ヶ月間キックボクシングトレーニングをしてくれた、先生であり友人のCちゃんで、「マジか〜〜〜〜ええええええええ〜〜〜〜」と彼女も涙出そうになりながら、一緒にショックを受け止めてくれたのだった。今回分かったのは、人は一番辛い時、「どうすればいいか」といった解決方法なんか興味ないのだ。そんなものはショックが過ぎれば、自分で見いだせるし、その段階でなら有効かもしれない。でも一番辛い時、「その人の痛みを感じようとしてあげる」という姿勢を見せるだけでも、十分慰めになるんだな、と学んだのだった。
辛い経験をした分、人の気持ちを分かってあげられるようになれば良いな。
そして結婚式だったはずの今日は、料理を担当してもらうケイタリング屋さんの素敵な夫婦にお料理のデリバリーを頼みました。そうしたら、
そして一緒にこんなカードをもらってしまい、その優しい言葉に、また泣いてしまったのでした。
素敵すぎる、コーコランケイタリング(http://corcorancaterers.com/)のマーサとチャック。このカップルは、どんな時でも十分すぎるくらい人に分け与えられる、giverな人たち。もしDMVエリアで結婚式を検討しているなら、ぜひオススメのケイタリング会社です。