ワシントンDCは実はゲイのメッカの1つ。
アメリカの州で最もLGBTQ人口の割合が高く、成人の10.7%がLGTのどれかである。道ゆく人の10人に1人の計算。
…ということは日本ではあまり知られていないと思う。
でもここではトランスジェンダーの人も多いし、LGBTQコミュニティも大きい。
ダウンタウンであるデュポンサークル近辺を歩いていたら、道を歩く男の人は、私ではなく私の(ハンサムな元)彼をチェキっていたりする。つまり、「ちょっと!何見てんのヨ!これ、私の彼だから!!」と、なぜか張り合う視線が交錯する相手が男性だったりする笑。
とはいえ、知り合いはLGBTQコミュニティで仕事をしてたりするので、諸事情は知っているものの、直接にはLGBTQの友達というのはいなかった。
カミングアウト
ところが、ちょっとしばらく前。
ある仲の良い男友達が、「ちょっと話したいんだけどさ!」とテキストしてきて、何度かすれ違ったあと、やっと電話を取ってみたら、開口一番、
「あのさ、ゲイなのかもしれないなと思ってさ。ちょっとその世界をもっと知ろうと思うんだ。」
とカミングアウトした。
お、おぅ。👀
いや、別に彼がゲイである(かもしれない)ということに驚いたのではない。
なんか、ものすごく嬉しそうで晴れ晴れとしていた✨ので、びっくりしたのだ。
私としても、人生初の友人のカミングアウトだったのだけど、もっとなんか深刻な感じを勝手にイメージしてた。
彼の生まれ育った地域(アメリカではない)は保守的で、「ゲイかもしれない」なんて考えること自体がありえないことで、しかも「ゲイ=気持ち悪いもの、人が笑いのネタにするもの」というイメージだったそう。最近彼は東海岸に移住してきて、今までなんとなく、「ゲイなのかな?」という気持ちを自分でも隠してきたことが嫌になり、散々悩んだ挙句に、ゲイかどうかは分からないけど、勇気を出して、それを確かめるために、自分が何者なのかを知るために、行動してみることにした、んだそうだ。
嬉しかった
そっかー。
まぁ、結局「やっぱり違った」ということもあるかもしれない。でもとにかく、私を信頼して、この大事な話を真っ先にしてくれたことはとても嬉しかった。
人の話を聞くのが成績で言えば「2」くらいの私だけど、最近、「人の話をじっと聞く」というactive listening/ deep listeningの訓練を地道にやっていて良かった(話を聞く天才の夫の良い影響である)。慌てなかったし、彼の話をじっと聞くことができ、「あぁ言えば良かった、あの言い方はちょっとよくなかったかもしれない」などの後悔のない会話ができた。
個人的に、セックスに関しては、人に直接の被害を与えない限り、つまりお互いが合意の上である限りは、完全に自由な世界で良いと思っている。それぞれどんな妄想が好きなのか、なんて知りたくもないが、とりあえずそれはその人の自由であって、他人の知ったことじゃない。だからゲイかもしれないことについては、特になんとも思わなかった。
人は未知のものを怖がる
でもこれは20年はDCに住んでいるから、慣れたということもある。初めてインターンシップでDCに来た時、3人の上司のうち二人がゲイで、どのように接して良いのかわからなくて戸惑った。人生で直接ゲイの人にお目にかかるのは初めてだったから。ある人のパソコンを使わせてもらった時に、ググろうとして、「G」と入れたら、自動的に「gay.com」(とかそんな感じのサイト)に飛んで、何かが目に入りかけて慌てて閉めたこともあった。
でも、慣れてくると、あぁ、女性が好きな男性がいて、男性が好きな女性がいて、そのどっちにも当てはまらないタイプの人がいるんだな、で納得できるようになった。最近はより定義が細かくなって、追いつけてないけれど。
そもそも、ゲイって、「同性とセックスできればゲイ」と認定できるのか、「性欲の対象だけではなく、精神的にも同性を求める場合にゲイ」と認定されるのか?思わず彼に聞いてしまったが、「そうそう、そこなのよ、これがまたフクザツでさー」ということで、今後もっと教えてもらえそうだ。
自分を受け入れる勇気
正直、なんか彼がとても清々しく、輝いて見えた(いや、電話だから聞こえた、か)。ここに至るまでに結構カウンセリングを受けたり、楽な道のりではなかったようだけど、自分はどういう人間なのか、恐れずに向き合うことに決めた、決意のあとの晴れ晴れと自信のある声。
すごいな、頑張ったな。
そしてふと、思ってしまった。
私はちゃんと自分の心の声に耳を傾けているだろうか?
本当は心の奥でやりたいと思っていることを、ちゃんと追求しているだろうか?
彼は、私と話してなんかポジティブになってきたそうで、「というわけでさ、またアップデートするから!」と言って電話を切った。
おお。なんか、私まで勇気をもらったぞ。
相変わらず、私の周りには素晴らしい人たちがいて、いつも勇気や刺激をもらっている。
彼のアップデートを聞くのが、楽しみ。
ちゃんと自分に向き合って、今週も生きてこう。