夫は人に自分のことをあまり話さない。それよりも人の話を聞く方に回ることが多い。でも、どうやら最近、少しずつ明るみに出てきた夫の姿が、なんか神々しくて、少しだけ、どうして私と結婚したのかな、と思ってしまう。
感謝祭の料理中、彼母との話題は夫のことが中心だった。自分の母親を見ている限り、母親というのは息子が大好きなので、一番適したテーマだろうという直感で話を聞き出したのだが、そこで、実は夫が高校時代と大学時代にテレビに出たという話を聞いた。高校時代は成績を表彰されて、大学時代は何か発明したらしい。実母にすら当日までその話をせず、病院のナースである彼母は、報道を見るのに間に合わなかったそうだ。知り合って5年だが、完全に初耳だ。ほんと、自慢たらしいことは言わないんだな、君は。
夫はここ最近、2日に1回程度、彼の旧友Aくんの電話相談を受け、1時間以上、話を聞いている。この旧友はもう何回も自殺未遂を繰り返しており、今度いつ自殺しようとするのかわからない。ご両親は亡くなり、兄弟に見捨てられ、心が折れている彼の話を、夫はずっと聞いている。これは長期戦であることは分かっているし、彼が自殺してしまう可能性があることも分かっているという。もし自殺してしまうとしたら、それは友人の選択だし、自分がそれを変えることはできない、と言いながら、それでも友人が繰り返す話を聞き、真心のこもった力強い言葉で勇気づけている。もう1ヶ月以上もだ。
で、これは初めてではなく、「絶対に、彼(夫)の味方だ」といつも言ってくれる夫の友人B君は、実は過去に夫に救われたのだと彼母にそっと教えてもらったばかり。なるほど、B君の厚い信頼とサポートがあるのは、そういう経緯だったのか。
彼だけじゃない。元ルームメイトのC君は、夫がいない時に、「彼ほど、自分に愛情をかけてくれた人はいなかった」というようなことを涙を流しながら教えてくれた。細かいことは覚えていないが、C君も、また夫が昔、闇の中から引っ張り上げた一人だということだ。最近、米国外に移住したC君だが、今でも数日に1回は連絡を取り合っているようだ。
もっとコミカルな話では、別の友達D君は、もう3日にあげず、彼女問題で相談の電話をしてきている。かれこれ2年くらいずっとだ!いい加減、自分で解決しろよ(ってか別れたら?)と思わないでもないが、私は口は出さない。それにしても、絶対に妻である私よりも、男どもの相談を聞いている時間の方が長いんじゃないのか?!
夫の忍耐強さ、友人たちへの深い愛情には、本当に驚かされる。彼母によると、子供の頃から、夫には彼を慕う友人の輪ができるんだそうだ。私には、こんなにオレ様のくせに!
でも… 私なんて彼よりずっと年上だけど、半人前。
いや愛情はあるのだけど、彼ほどの忍耐力と理解力(エンパシーの方)、そして彼ほどの対応スキルとコミュニケーションスキルを持っていない。つまり気持ちはあるが、役不足なのだ。
女としての私は、「私ほどの女を妻にできたあなたは幸せ者ね!」と心底信じて疑っていないし、夫にもそう申し伝えてある。ここは何がどうなろうと、誰がなんと言おうと疑ってはいけないところだ。😎 でも、人間としての私は、彼の人間力と愛情の深さに、いつも尊敬と誇りを持って敬服し、そして、ちょっとだけ「なんで私なんだろう…」と不思議に思ってしまう。彼ほどの人徳があるタイプじゃない。
まぁ、彼が「君が俺の人生のプライオリティだ」と言ったのだし、二人で生きていこうと言っているのだから、理由なんてどうでも良いか。信じて一緒に生きていこう。
そういうわけで、クリスマスには、友人Aくんをうちにお招きしたらしい。しかも彼だけかと思いきや、他の友人も呼んだパーティにする計画らしい。おっけ。妻はそれじゃまた、頑張って大量に料理を準備しますかね… 私もまた、彼の輪の中に素敵に巻き込まれている。
10年前、15年前には、こんな人に出会えるなんて… 夢にも思わなかったな。
諦めなくて良かった。自分を信じて良かったです。
今、私はまた別の夢を追っている。夢はきっと叶う。
夢を掴もうと努力する人たちの夢が、どうぞ叶いますように。
(こんなこと、ブログに書いたと知ったら怒るかもしれないから、これは、夫には内緒のブログです💕 )