アメリカの妻の役割
わたくし、１月に結婚したばかりですので、まだ新米の妻ではありますが、コロナ直撃で結婚式は流れるわ、自粛で人にも会えず「夫が」などという機会はないわで、なんといいますか、「妻になった」という感覚も薄く、その役割を特に意識したことはありませんでした。
うちでは、ご飯は食べたい人が食べたい時に食べ、作りたい人が作る、というシステムで、相方が好きではない食べ物の場合は作らず、別途相方用に何か作る、というわけでもありません。お互い得意料理も違うので、相方が「それ食べたい！」と言えば2人分作るし、2人が好きな食べ物は一緒に作る日もあります。でもこのゆる〜いシステムが上手に回っている理由の一つでもあります。家事に関してはお互いに得意・不得意を理解しており、特に話あったわけでもなく、なんとなくこうなりました。というわけで、「妻だからやる」という作業は特にないのです。強いて言えば、彼の探し物、靴下や携帯がどこにあるか知っているくらいですかね（妻はGPSか！笑）。
さて、そんな中、コロナ直撃前に手術を受けた夫が、なんと手術した箇所が化膿しているということで、医者のアポなどいつ取れるかわからないから抜糸を自分ですると言い出し、手伝う羽目になりました。傷口はふさがっていますが、虫眼鏡もなく、黒っぽいものがかさぶたのようなものなのか、糸なのかもわからず、それを引っ張るのをライトを当てて見守りつつ、必要な綿棒だとかを、ゴクッ…と息を飲みながら渡しました。
でもやっぱりちょっと無理（→当たり前です。手術は深いところを切ったんですから！）で、翌日に医者に行きましたが、主治医もやりかけて傷の深さに気づき、適切な麻酔薬がないということで、緊急手術を別途することになりました。
ってサラッと書きましたが、抜糸を自分たちでやろうとするなんて、なんちゅう世界なんでしょうか、アメリカ。
いやいや、こんな深く切った傷を縫い合わせた糸を自分で抜糸するとか、マイケル・ムーア監督の映画『Sicko』の世界です（YouTubeで映画は見れるようですね）。映画では自分で「縫って」ましたが…。
Sicko (Sous-titres Français & Anglais - French & English Subtitles)
結局、本来、手術後のフォローアップで医者が抜糸するはずが、コロナで「緊急ではない」ということで電話対応になった際に、お医者さんが抜糸を忘れてしまったようです。って！！！人間、過失はあるってわかってますが、忘れんなよ！！！主治医もさ、切ってからこりゃ無理だわって気づくの！？
この手の過誤で亡くなる方もいるそうです。正直、ものっすごく不安ですし、彼の耐えている痛みを思うと、自分もクラクラしてきます。ただでさえ、既に色んな痛み止めの薬も飲んでいて副作用などもあるってのに。
でも、ここは妻として、「大丈夫よ！」とドーーーーンとしていなければなりません。本人が自分の体のことは一番心配しているはず。まさかビビってるなんて素振りは見せてはいけない。妻としては、最大限の物理的サポートと、そして何よりも、精神的に強くいること、抜糸でもなんでも手伝える胆力、肝っ玉、そういうものが求められているのだ、と感じる次第です。
まじヤバい、アメリカ。
…ほんと、なんなの、アメリカ。
色々と「は？」と思うことは多い国ですが、まさか自分が「抜糸＠ホームを手伝う」ことになり、主治医に会いに行った夫が、そのまま死ぬ可能性だってある中、抗生物質を買いに行き、コロナで長い列に並び、医者に自ら電話して緊急手術を取り付けるのを家で待つしかない、という立場になるとは思っていませんでした。いや、多分これ、アメリカ生活あるある、ヤバい世界の序の口。いやいや、これからどんな変化球が待ってんねん、この国。
在米１９年、大抵のことでは驚かなくなりましたが、それでもまだまだ「そうきたかー！！」というタマが飛んできます、このメリケン大帝国。正解とかマニュアルなんてなくて、「そうきたなら、これでどうだ！」という打ち返しが即できなければ、そしてそれをやる機転と英語力と勇気がなければ、結構この国で戦い抜くのは厳しいのであります。
英語力ではネイティブには勝てないので、どんなタマが来ても、せめてパニクらない精神力と明晰な頭（自己評価笑）で解決策を打ち出して夫の背後を守るのが、妻にできること。
…胆力、鍛えます。
実はちょっとパニクって既にフラッフラなので、もう寝ます。このヤバい国で生き抜くには、十分な睡眠をとって、明日からの戦いに備えなければ。
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